オオムラサキのゆりかご

エノキの根元の落ち葉に眠っています
エノキの根元の落ち葉に眠っています

第3巻の『身近なチョウ』の取材のために、昨年からおさそい頂いていた千葉まで、オオムラサキの越冬状況を観察するためにご案内頂きました。

昨年、荒川自然公園のオオムラサキケージを拝見するまで、身近なチョウとして「オオムラサキ」を書くことなど考えもしませんでした。しかし、日本各地の教育機関、中学・高等学校ばかりではなく、小学校や幼稚園などでもオオムラサキを飼育している現状の中で、その様にして、国蝶オオムラサキを、100年後の子どもたちの身近に残す道があることを書きたくなりました。

 

世田谷の雑木林でオオムラサキを見て育った私は、高いところを飛翔してなかなかつかまえられないチョウだとは思っていましたが、どこにでもいるチョウではないことを知りませんでした。

2001年4月に、アゲハの飼育図鑑を出版するため、色々ご教授頂いた日高敏隆先生とお話ししていた時、先生が成城高校に通われていたころ、私がオオムラサキを見て育った雑木林で、初めてオオムラサキをネットインしたことを伺いました。先生は、私よりも17歳ご年長ですから、先生がオオムラサキをつかまえたころ、私が生まれ、その5年くらい後に私が、オオムラサキを認識するようになったので、同じ時期に同じ雑木林にいたわけではありません。しかし、戦後すぐの時代の5年間は、自然環境にほとんど変化がありませんから、きっと同じ風景を見ていたのだと思って嬉しくなりました。

また、アゲハの本を書く前後に色々とアドバイスを頂いた、鳩山邦夫先生からは、オオムラサキを飼育すると小さな個体しか得られないと伺い、オオムラサキを飼育観察することにも興味があります。

はてさて、オオムラサキは1化。年一回だけの発生です。

終令幼虫、サナギ、成虫、卵、越冬法を含めた越冬幼虫の様子まで見てきました。これからどのように育っていくのか・・・ 

私たちはどう描いて行くのか、私自身も楽しみです。